趣味がなかったわけじゃないけど、どれか一つに熱中できなかった
理解できないと思いながら、熱狂する姿に憧れていた
ずっと探していた、もっと心焦がす何かに出逢えるはずだと
現実が大嫌いで、夢物語を歌いながら眠りたかった
同じくらいまだ知らないことが沢山あるこの世界に惹かれていて、どうしようもなく絶望していた
だから何か一つに溺れたかった、運命に身を結ばれて落ちてしまいたかったけど
そうじゃなかった
ちゃんと全部が大好きで愛しい気持ちは本物で、比べる必要なんてない
何もかもが本物だった
私は学ぶことが好きだった
思い出した、だからずっと何か知らないものを追いかけていたんだ
飽きっぽかった訳じゃない、それだけじゃない
新しいことを学んで成長するのが好きだった、新しい自分に出会う旅だ
それが私の生きたい人生で、できる限りの私の高みに上り詰めることが見たい景色で
なりたいのは、ずっと前を向いて登りゆく逞しい私だ
そうだった
満足してしまうと熱が冷めるのは飽きたからじゃない
これ以上の成長を期待できないと思ってしまうからだ
ちゃんと全部好きなんだ
唯一無二になりたい
何か一つでも、そうなれたならよかった
でも私にはこの凡才しかない
もっとたくさんを学びたい
全部を知りたい
深く知るにはこの人生は短すぎる、わかっている
だから次に行くんだ
知らない世界を見に行こう
そうだった、ずっと忘れていた
すぐに熱の冷める白状者だと自分に失望してしまっていた
ここまで頑張ったのにどうしてだろうとずっと悲しかった
そうだねもっと学びたい
伝えたいことがなくて悲しかった
叫びたいことがなくて悔しかった
もっと自分に何かが欲しかった
絵が好きなのに描きたいことがなかった
歌が好きなのに伝えたいことがなかった
踊りが好きなのに表現したいことがなかった
それでよかった
好きだからもっとそれを知りたくて、学びたいだけだった
よかった。
みつけた世界が綺麗だったことを話したい
もっと素敵で楽しいことがたくさんあることを知ってほしい
一緒に最高だよねって分かち合えたらいい、分かり合えなくても
まだみれない世界を想像したい
学ぶとそれができる
学ぶのは楽しい
未知との遭遇ができる、毎日宇宙人に会えるようなものじゃないか
学ぶたびに美しい景色を頭の後ろまで見渡せるような気持ちになる
それを想像するだけで私は空を飛べる
今日も本棚を見つめてはうっとりする
まだこんなに知らないことがある
明日も本屋さんに行って絶望する
死ぬまでに全てを知ることはできないのだろうと
家に帰って強く思う
せめてこの子たちを読み切るまでは死んでたまるかと
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